Notionで手軽に高機能なWebサイトを公開できるサービスSuper.soで運用していたサイトを閉じることにし、サブスクリプションを解約しようとしました。
しかし、アカウント設定や請求情報ページをいくら探しても、肝心の「解約」や「キャンセル」といったボタンが見当たりません。一体どうすれば…?とヘルプページを探したところ、驚きの事実が判明しました。
Super.soのサブスクリプションを解約するには、サポートとのチャットを開始する必要があるのです。
公式ヘルプには、以下のように記載されています。
Cancelling Your Subscription Altogether
If you decide to cancel your subscription with Super, we’re here to assist. Please follow these steps:
- Open Help Chat: In your Super Dashboard, open the Help Chat.
- Navigate to Billing: Once the Help Chat is open, select ‘Billing’ followed by ‘Cancel’ to initiate the cancellation process.
- Share Your Experience: We value your feedback and are always looking to improve. During the cancellation process, please kindly share your thoughts on why you’re cancelling so we can learn from your experience and make improvements to our service.
(日本語訳)
サブスクリプションを完全にキャンセルする場合
Superのサブスクリプションをキャンセルする場合は、私たちがお手伝いします。以下の手順に従ってください:
- ヘルプチャットを開く: Superダッシュボードで、ヘルプチャットを開きます。
- 請求へ移動: ヘルプチャットが開いたら、「Billing(請求)」を選択し、次に「Cancel(キャンセル)」を選択してキャンセルプロセスを開始します。
- あなたの経験を共有する: 私たちはあなたのフィードバックを尊重し、常に改善を目指しています。キャンセルの過程で、なぜキャンセルするのかについてご意見をお聞かせください。あなたの経験から学び、サービスを改善するために活用させていただきます。
ソフトウェアエンジニアの視点から、この設計には2つの意図が考えられます。
解約率を意図的に下げる(チャーンレートの抑制) 手続きを複雑にし、ユーザーが解約を思いとどまるように仕向ける、いわゆる「ダークパターン」の一種と捉えることができます。ボタン一つで完了する手続きを、人とコミュニケーションを取らなければならないチャット経由にすることで、心理的なハードルと手間を増やし、解約率を下げようという狙いです。これは短期的な指標改善には繋がるかもしれませんが、ユーザーに不信感を抱かせ、長期的なブランドイメージを損なうリスクがあります。
ユーザーからの直接的なフィードバック収集 公式ヘルプの文面からは、こちらの意図が強いようにも読み取れます。「なぜ解約するのか」という最も重要なフィードバックを、チャットを通じて直接ヒアリングしたいという考えです。アンケートフォームよりも質の高い、生の声を集められる可能性は確かにあります。サービスを本気で改善したいという真摯な姿勢の表れかもしれません。
フィードバックを収集したいという提供者側の意図は理解できます。しかし、それを解約プロセスの必須条件にすべきではありません。ユーザーは、自身の都合の良いタイミングで、誰にも気兼ねなくサービスを去る権利を持つべきです。
理想的な形は、まずユーザーがセルフサービスで簡単に解約手続きを完了できるようにし、その後で、もしよろしければ…という形で任意のフィードバックアンケートを提示することでしょう。
解約手続きがスムーズであることは、ユーザーに「また必要になったら戻ってこよう」と思わせる最後のチャンスです。去り際の体験が悪いサービスに、再び好意的な感情を抱くのは難しいものです。
以上、Super.soのUXが悪いなと思った、現場からお送りしました。